2010/09/20

Carr & Day & Martin

9/20/2010
 馬具と馬のメンテ用品の老舗である Carr & Day & Martin が、サドルソープをクリーナーとしてではなく、コンディショニング・ソープとして売っているのは興味深いかなと。

 Carr & Day & Martin の旧HPは2006年以降しか確認できませんでしたが、2006年当時、ベルボア・タック・クリーナーを新製品として掲載していた模様。
 「馬具ケアの新しい『Step 1』。ゴシゴシ擦る洗い方を忘れよう。革に吹き付けて、皮脂と汗と汚れを拭き取るのみ。簡単で効果的。もっと早くこのことに気づかなかったのは信じられない」とのこと。
Belvoir Tack Cleaner
http://web.archive.org/web/20060726012231/www.quayequestrian.com/cdm/productList.aspx?id=1

 Carr & Day & Martin がサドルソープをクリーナーとして使ってはいけないと指摘する理由は、「サドルソープによって乳化された皮脂や汚れが、水とともに革の中に浸透してしまうから」という感じです。(Toby J. Raphael 氏フロリダ歴史博物館とオランダ文化財研究所も同じ指摘をしています)

 オーストラリア政府文化財保護審議会が指摘するように、サドルソープを使うときは水の量を最小限に抑えれば、サドルソープもそれなりに使えるのでしょうが、石鹸カスはカビや雑菌の栄養源にもなりますし、サドルソープは出来の悪いクリーナーなんでしょうね。

 Carr & Day & Martin はココで買えます。

 ちなみに、ベルボア・タック・クリーナーとレクソルのクリーナーは類似商品だと思いますが、主な違いは、↓でしょうか。
  • ベルボアには抗真菌剤が配合されているが、レクソルには配合されているか不明。
  • レクソルにはグリセリンが配合さいているが、ベルボアには配合されているか不明。





 以下、Carr & Day & Martin の HP より。


Belvoir Tack Cleaner Spray
効果的に革をきれいにする。汚れ、皮脂および汗を簡単に取り除く。

商品説明
  • 馬具の新しい手入れ方法である「Step 1」。コンディショニングソープやコンディショニングオイルを塗る前に使用し、革の表面を理想的な状態にする。
  • 染み込んだ皮脂や汚れさえも落とすクリーニング剤配合。
  • カビの成長を防ぐのに効く抗真菌剤配合。また、馬具に生えたカビを衛生的に除去する。
  • pH が中性なので、ステッチを傷めないし、革を乾かしすぎない。

使用方法
  • 革に直接スプレーして、汚れを拭き取る。染み込んだ皮脂を取る場合は、5分間放置する。カビを拭き取った布は再使用せずに、破棄すること。
  • 合成皮革にも使用可。目立たないところでテストすること。
  • 洗浄効果はすぐに発揮される。
  • 使用状況にもよるが、500ml は2ヶ月分あるでしょう。





Brecknell Turner Saddle Soap Brecknell Turner Saddle Soap
馬具をコンディショニングするための伝統的なソフトワックス製法。

商品説明
  • 柔らかい混合石鹸。グリセリンが入っていないので、マットな仕上りになり、手触りが良く仕上がる。
  • スポンジ付き。
  • 「Step 1」の Belvoir Tack Cleaner の後に使用する。

使用方法
  • 洗浄された馬具に、布かスポンジで優しく塗る。サドルソープが乾いたら、柔らかくて乾いた布で磨く。アニリンレザー、未処理の革(白ヌメ)、スエード、ヌバックには使用不可。目立たないところでテストすること。





Daily Maintenance - Clean First Daily Maintenance - Clean First
MAKE SURE IT’S CLEAN FIRST

 理想としては、全ての馬具製品は、使用されるたびに、汗と皮脂中の革を傷める塩を拭き取らなければならない。少なくとも5回に1度は、徹底的に汚れを落とさなければならない。

 徹底的に掃除にするためには、必要に応じて、馬具をバラして、各パーツをそれぞれ掃除しなければならない。

 コンディショナーを塗る前に、革を洗浄することは極めて重要である。洗浄することによって、革の表面から皮脂と汚れが無くなり、コンディショナーが浸透できる。

 Belvoir Tack Cleaner は、革を濡らし過ぎることなく、また、ステッチを傷めることなく、皮脂と汚れを素早く簡単に除去するように特別に作られたクリーナーである。革を液体で濡らし過ぎると、コラーゲン繊維が膨らむ。コラーゲン繊維の膨張は、最終的には、革を伸ばし弱くする。速乾性の Belvoir Tack Cleaner は皮革組織を弱くしないことを保証する化学的に中性のクリーナーであり、カビの成長を防ぐ抗真菌剤を配合している。

 伝統的にサドルソープは革のクリーナー兼コンディショナーとして使われてきたが、サドルソープは皮脂と汚れを効果的に取り除くことなく、実際のところ、皮脂と汚れをベトベトする残留物として革の中に閉じ込めうるので、サドルソープをクリーナーとして使用するは避けるべきである。泥がついた場合は、洗浄する前に泥を慎重に取り除き、革表面を傷つけないようにする。

 サドル用ゼッケンは汗と皮脂を吸収し、馬具を保護するので、ゼッケンを常に使うように。革の汚れ落としは、革紐、バックル、ストラップ、縫い目の安全チェックをする良い機会である。馬具をさらに傷めたりしないように、また、不必要な出費をしないようにするために、修理が必要であれば迅速にしなければならない。もちろん、貴方の安全を保証するためにも。





Daily Maintenance - Then Condition ... 3 OPTIONS

 洗浄後、乾かすと、若干色褪せし、油分が無くなったように見えることもある。そこで、コンディショナーを塗って、革に潤いを与え、しなやかにし、革を保護しなければならない。

Option 1: Belvoir ‘Step 2’ Tack Conditioner を塗る。ココナッツオイルとグリセリンベースの石鹸で、艶出しをし、革を保護する。グリセリンは革をコーティングし、革の栄養分となり、革の微細な間隔を塞ぐ。グリセリンはバリアとなって、塩、汚れ、皮脂、水から革を守る。新品の革を使う場合、コンディショナーを塗り過ぎると、革がべとつくので、塗り過ぎないように注意すること。

Option 2: Brecknell Turner Conditioning Saddle Soap を塗る。柔らかい混合石鹸であり、革を保護するグリセリンは入っていないが、革を手触り良く、マットな仕上りにする。

Option 3: Leather Balsam を塗る。革の栄養であり、革をコンディショニングするラノリンとビーズワックスが配合されている。革に油分を与え、しなやかにするソフトワックスである。最も効果的に油分を補充し、新品や高品質の馬具の手入れに適している。塗り過ぎないように注意すること。また、試し塗りをして革との相性をチェックすること。





Caring for Saturated Leather Caring for Saturated Leather
Prevention is better than a cure!

 革が濡れると、デリケートな革の繊維に深刻な損傷がもたらされうるので、できることなら、馬具を濡らさないようにしたほうが良い。もし馬具がずぶ濡れになったら、正しくケアをすることで、起こり得る損傷を最小限にすることができる。

 革が水浸しになると、吸収した水によって、革の内部の繊維は伸びる。濡れた革の繊維は通常の丈夫な繊維構造から変形するので、革の強度が弱くなる。

 革は乾く時に、水分と一緒にコンディショニングオイルが抜けるので、革の油分がほとんど無くなったり、あるいは、全く無くなったりする。その結果、革の繊維がくっついて固まり、硬くかさついた質感に変わる。

 したがって、革がまだ濡れている間に、革に薄くコンディショナーを塗ることは極めて重要である。泥汚れを乾ききる前に慎重に落として、Leather Balsam かニーツフット・コンパウンドを薄く塗ることを薦める。

 また、熱源から遠ざけ、自然乾燥させることも極めて重要である。熱を使って乾燥させると、乾燥にかかる時間は短縮されるが、水分とコンディショニングオイルが急激に失われてしまう。

 以上を踏まえて正しく乾燥させれば、柔軟性が失われず、油分が抜けず、水シミがつかないはずである。



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